タラ号太平洋プロジェクト:
サンゴに注目 サンゴ単体から岩礁まで

© Lauric Thiault

タラ号の太平洋での新たな調査の準備が現在進んでいます。乗組員たちがサンゴ礁に舳先を向けようと準備する間、タラ号太平洋プロジェクトの科学者たちは研究計画の仕上げにかかっています。しかしそもそも、サンゴについて何が分かっているのでしょうか? サンゴの存在とその形成について研究することは、ポリプと石灰質から成るサンゴ礁を形作る巨大な生き物の集合体に命を吹き込んでいる複雑な世界に入り込むことを意味します。

ポリプにのみに焦点を当ててサンゴを研究するとしたら、それは1匹の蟻だけを見て蟻塚を理解しようとするのと同じぐらい単純化の危険を冒すことになります。サンゴの世界に初めて入り込んだあとは、一旦距離をとらなくてはいけません。そうすることによってこの非常に小さな生物が、鉱物からなる海底の村や大聖堂のようなまさに建造物といえるものをどうやって築くことができるのか、理解できるのです。クラゲの極小の親類であるポリプと、宇宙からでも見えるグレート・バリア・リーフの間にはいったいどのような関係があるのでしょうか?熱帯のサンゴであるイシサンゴ類では、1つ1つのポリプが外骨格を形成します。外骨格はポリプの防御壁となり、ポリプが死んだ後も残る支えです。ポリプは生きている間ずっと、無性生殖により増殖を続けます。このようにして生まれた新たなポリプは新たな石灰質の骨格を作り、自らの群落、コロニーを拡大していきます。

枝状、脳状、テーブル状のサンゴの場合、海水に触れている表面のみがポリプに覆われています。サンゴ自体が生命体なのです。この非常に薄い生物層の下には何百万もの骨格の集積である鉱物質しかありません。大きなサンゴを見ると、木の年輪のように過去にさかのぼり、数世紀、さらにはそれ以上にわたるコロニーの推移を知ることができます。現在、最も古いコロニーは4千歳と推測されています(しかしもちろんこれはコロニーの年齢であり、ポリプの年齢ではありません)。

 

Corail - Pocillo meandrina©Lauric Thiault

 

コロニーの成長、すなわち石灰質の量の増加とともに、自らの重みによって折れたり、海流や波に折られたりして破片が出てきます。数m離れた場所に運ばれた破片は海底に定着し、はじめのコロニーの完全なクローンである新しいコロニーを作ることができます。複数のコロニーが集まっていると、堆積物や有機体の残渣(体動物の殻やウニの外皮など)によって穴が少しずつ埋まり、最終的にはkmにわたって広がるサンゴ礁を形作ります。

さらに遠くに自らを拡散するために、サンゴは精子が卵母細胞に入って卵細胞を作る有性生殖によって繁殖することもできます。4分の3ほどの種は両性具有であり、それぞれのポリプは雄性と雌性の配偶子を同時に放出します。このような有性生殖は、非常に短期間で行われるため、長年気づかれずにいました。配偶子の大量放出はなんと年に一晩しか起こりません。

数時間のあいだに、異なる十種類ほどのオス、メス、両性具有のポリプは、配偶子を海洋中に一斉に放出し、表面にまで浮き上がる配偶子の雪を降らせます。それぞれの受精した卵母細胞はプラヌラと呼ばれる幼生になります。プラヌラは海流に運ばれ、海底や支持体(しばしば基盤と呼ばれる)にぶつかるとそこに定着します。はじめのポリプが現れ、石灰質の骨格を作り、繁殖します。新たなコロニーの誕生です。

ヤン・シャヴァンス