タラ号がコーラルトライアングルから日本へ再来航 サンゴ礁から既に25,000サンプルを収集

© Pete West / Bioquest Studios

フランスのスクーナー船タラ号は昨春日本に来航した後、2017年から2018年にかけて生物多様性が最も豊かであるコーラルトライアングルと称されるソロモン諸島での研究を続け、この1年間で更に10ヶ国を訪れました。タラ財団が主導した重要な当ミッションでは研究者たちがこれまでに2,500回ほど潜水し、25,000サンプルの収集に成功しています。サンプルの分析も始まっており、サンゴ礁の生物多様性、その健康状態そして気候および環境変化への適応能力についてより理解が進むと考えられています。タラ号に乗船している研究者たちはこれまでに、太平洋でサンゴ礁の白化現象が世界規模に及んでいること、またプラスチックによる甚大な環境汚染を観察しています。

海が直面する環境的脅威や気候の変化による影響を理解するべく、15年前にアニエスベーが設立し、各パートナーと共に支援してきたタラ財団は、タラ号北極プロジェクト(2006-2008)、タラ号海洋プロジェクト(2009-2013)、タラ号地中海プロジェクト(2014)などの重要な探査プロジェクトを実施してきました。2017年春、日本に初来航したタラ号は、現在太平洋のサンゴ礁を研究するタラ号太平洋プロジェクト(2016-2018)を終えようとしています。

Pete West Bioquest Studios 2
© Pete West / Bioquest Studios

日本のサンゴを研究

昨年、小笠原諸島へ科学調査のための寄港をした後、1カ月以上におよぶ啓発イベントを日本各地で行ったタラ号は3月に東京を出発して黒潮を南にたどって航海し続けました。筑波大学、高知大学、宮崎大学、そして東京大学の研究者たちは、最北のサンゴ群集がある東京湾の勝山から沖縄の瀬底島のサンゴ礁まで、海洋生態系を調査しました。研究者たちは途中、式根島、横浪(高知)、喜界島(鹿児島)、硫黄鳥島(沖縄)に寄港し、気候変動および海洋酸性化が海洋生態系にどのような影響を与えるかも同時に研究しました。今後の様々な展望を考慮し、海の特徴がわかりやすい観測地点が厳選されました。日本列島は、その長さと地理的位置により北から南にかけて大幅な気温差があり、地球温暖化に海洋生態系が適応できるか否かを研究できる自然の実習室です。式根島と硫黄鳥島の外れでは、水中火山性二酸化炭素排出により自然に酸性化した場所で潜水探査を行うことができました。収集されたデータによって研究者たちは水面下で起きている事象をより深く理解できることでしょう。

北太平洋から南太平洋まで

日本を出航後、タラ号は台湾を航行してから直接南太平洋に向かい、31日間という今回のプロジェクトで最も長い航海を経てフィジー諸島に到着しました。日本に前回来航して以降、タラ号は33,000kmを航海し、フィジー、オーストラリア、ニューカレドニア、ソロモン諸島、パプアニューギニア、パラオ、フィリピン、ベトナムおよび中国を訪れています。

Green Stylophora SPS coral
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サンゴにとって希望の光

タラ号は2017年8月、長年に渡って地球温暖化や現地の様々な脅威の影響を受け続けているグレートバリアリーフにたどり着きました。しかしその東数百kmに位置するチェスターフィールド諸島は、サンゴにとって希望の光のようでした。この生物多様性の宝庫とも言える場所は白化現象を免れていたのです。研究者たちはこの希望に満ちた事例を現在研究中ですが、グレートバリアリーフから遠隔であることや、南極大陸からの寒流によって地球温暖化の影響を受けずにいられることが、健康状態の良い豊かな生物多様性が維持されている理由ではないかと考えています。

汚染および温暖化の蓄積的影響?

タラ財団の研究者たちはほとんどの環礁で、そして東南アジアの環礁では特に甚大なプラスチック汚染を観測しました。使い捨てプラスチックの堆積物はビーチや海中でよく発見されますが、へき地でさえも同じ状況です。研究者たちは陸からもたらされる汚染を、地球温暖化現象と並行して研究し続けています。地球温暖化と比較すると、陸上からもたらされる脅威はその原因さえ正確に見極めるこができれば、短期的かつ非常に取り組みやすい問題と考えられます。プラスチック汚染を再確認し、タラ財団は使い捨てプラスチックの廃止を呼びかけ、アジア、日本、そして全世界で「サーキュラーエコノミー(循環型経済モデル)」を推進し続けています。