地球のために活動するスクーナー船、タラ号

[インタビュー] 大小島 真木 「海、生命のスープ」

© 大小島真木

2017年、日本人アーティスト大小島真木はタラ号に乗船。タラ・パシフィックと題した太平洋を横断する探査に参加し、グアムからミクロネシアを経て日本まで航海しました。タラ号での海の経験は、彼女に鯨への熱い情熱をもたらし、やがてそれは素晴らしい壁画へと昇華します。昨年冬、大小島真木の鯨たちはパリへ向けた遠泳に出発 ― パリ・アクエリアム(パリ水族館)での2か月に及ぶ展覧会で人々に披露されました。

タラ号での経験はあなたの作品にどのような影響を与えましたか?

タラでの経験、それは素晴らしい出会いの連続でした!海の上で生活すること、自分がちっぽけな生き物の一部であることを実感しました。海の事について深く豊かな経験を持つサイエンティストや船乗りであるタラ号のメンバーと語り合うことで、私の知らなかった多くの視点や知識に触れました。プランクトンやサンゴの働きについて、実際にこんなに間近に感じられたことは、貴重な体験として刻み込まれています。

そして白い鯨と出会ったこと。皮は溶け、脂肪がむきでた鯨の亡骸が海に浮かんでいて、その体を食べに、たくさんの鳥や魚たちが集まってきていました。「食べる、食べられる」の、その光景を目前にして、どれほどの命がこの中に溶けているのだろう、と、海を生命のスープのように感じたのです。生命の礎によってできた私たちの生きる場所。地球が一つの大きな生きものに見えます。タラでの経験の後、私の中で鯨は私たちに問いかけてくるメッセンジャーの様な存在になっています。鯨シリーズの始まりです。

z-e-aquarium-paris-2-72「鯨の目」パリ・アクエリアムにて ©セルジュ・コチンスキー

先月(2018年12月~1月)のパリ・アクエリアムでの展覧会ついて詳しく教えてください。

展覧会のタイトルは ”L’oeil de la Baleine/ 鯨の目”です。パリのアクエリアムの300平方メートルの壁に、6頭の鯨が登場しました。そのうち4頭は2018年の夏、粟島という香川県の小さな島で制作し、全体を11月の終わりにパリで仕上げました。この鯨シリーズによって、タラで得た新たな視点を伝えています。鯨は海のメッセンジャーで、私たちに海の素晴らしさと同時に、私たち人間も無関心ではいられない地球の危機についても教えてくれます。

日本に戻って、新たな次のプロジェクトは?

(2019年)の1月から3月まで、青森県立美術館の「アグロス・アートプロジェクト2017-18 明日の収穫」のために、昨秋プロジェクトメンバーと共に10メートルの作品を制作しました!アグロとは、古代ギリシャ語で「耕地」または「野原」を意味します。このプロジェクトでは、飢え、収穫への祈り、儀式や踊りなど、米についての食習慣や農業について学び、実践し、体験の中から学んだ精神的、物質的な収穫物が作品の血肉となり展開されます。作品では、喜び、悲しみ、そして土壌に対して生まれる葛藤について表現しています。

アグロス・アートプロジェクト2017-18 明日の収穫
青森県立美術館
2019年1月26日(土)~ 3月3日(日)

image1 copie大小島真木 滞在制作「手の知恵」 青森県立美術館での制作風景  ©青森県立美術館