タラ号、太平洋プロジェクトから帰還。地域により異なる、驚くべきサンゴのデータと共に。

© Fanch Galivel / Tara Expeditions Foundation

2年半に渡る太平洋プロジェクトの後、タラ号は10月27日、母港であるフランス・ブルターニュのロリアンに戻りました。太平洋には地球上のサンゴ礁の40%以上が確認されています。タラ号太平洋プロジェクトは、タラ財団の指揮の元、科学者たちに新しい研究方法を前例のない規模で提供し、これら太平洋のサンゴ礁に対し、人類が長年及ぼしてきた影響を調査しました。

最初の観測によって、地域によってサンゴ礁の状態が多様に異なる事が明らかになりました。これはそれぞれの地域によって、サンゴに対するグローバルおよびローカルなストレス要因の組み合わせが多種に亘って存在する為です。例えばチェスターフィールド諸島のような特定の場所のサンゴ礁は健全でしたが、サモア諸島やフランス領ポリネシアのトゥアモツ諸島といった他の多くの地域では、地球温暖化によりサンゴ礁が傷つけられている事が確認されています。

科学者は現在、航海中に採集された36,000以上のサンプルを精密に調べ、サンゴの生態と、気候変動やその他の環境変化に対する適応能力を分析しています。これらタラ号太平洋プロジェクトの活動は、フランス国立科学研究センター(CNRS)、パリ人文科学研究大学(PSL)、原子力・代替エネルギー庁(CEA)、モナコ科学センター(CMS)、その他多くの公共・民間スポンサー(アニエスベー、ヴェオリア財団、モナコ大公アルベール2世財団など)の皆様からのご支援により支えられています。

Sampling water around corals in Japan _ Credit Pete West - Bioquest Studios (1)© Pete West / Bioquest Studios – Tara Expeditions Foundation

パナマ運河から日本へのコースを進み(2016-2017年)、ニュージーランドから中国へ(2017―2018年)、タラ号は32ものサンゴ礁から、3,600を超えるサンプルを採取しました。この事により、太平洋プロジェクトはサンゴ生態系調査のための最も大きな科学的キャンペーンとなりました。2016年5月にロリアンを出港後、スクーナーは、30数カ国に寄港しながら、100,000キロを航海しました。

地球温暖化によりひどい打撃を受けたいくつかのサンゴ礁

タラ号の科学者たちは、早くも2016年11月には、ドーシ島とイースター島西岸で地球温暖化により被害を受けたサンゴ礁の最初の観測を実施しました。サンゴの白化現象の進行状況について、ポリネシアのツアモツ諸島のいくつかの島では30パーセントから50パーセントに及び、2016年11月に訪れた南太平洋のサモア諸島では90パーセントにも及びました。ミクロネシアでは、ツバルとキリバスのサンゴ礁のいくつかはスクーナーが到着するまでに既に死滅していました。一方、ウォリス・フトゥーナ諸島とチェスターフィールド諸島は比較的痛手を受けていませんでした。

世界気候とローカル汚染の有毒なカクテル

多様なローカルおよびグローバルな障害に対する、サンゴ礁のそれぞれ個別の反応のために、タラ号の研究者は、それらが極めて異なる状態にあり、生態系の健康に関するパッチワークキルトを形成していることを発見しました。タラ号太平洋プロジェクトは、科学者に対して、ローカルな障害(例:汚染、都市化、浸食による土壌の堆積、破壊的な漁業慣習)による影響と、地球規模の変化(例:地球温暖化、海洋酸性化)による影響を区別し、その両方にさらされたサンゴ個体群の健康を評価するための、前例のない機会を提供しています。これら初期の発見は、ローカルにおける持続可能な開発が生態系の健康のために重要であることを浮き彫りにしており、我々がグローバルな気候変動に直面している状況でも、地域での意欲的で持続可能な施策と実践が必要であることを示しています。

Bleached coral in the Tuamotu 7 _ Credit David Hannan - Ocean Ark Alliance - Tara Expeditions Foundation© David Hannan / Ocean Ark Alliance - Tara Expeditions Foundation

他に類を見ないデータ

この遠征を通じ、サンゴ礁生物学者、遺伝学者、海洋学者、サンゴ礁に住む魚類やプランクトンの専門家、バイオインフォマティクスの研究者、さらには医師など非常に多様な専門分野から成るタラ号研究チームは、サンゴとその構成微生物がどのように機能するかを分析し明らかにする貴重なデータを蓄積してきました。それらのゲノムの研究は、サンゴが環境変動にどのように順応するかを決定するメカニズムへの理解を深めることになるはずです。それによって、サンゴ礁とそのウイルス、またその微生物相の細菌に影響を及ぼす、環境および生物学的パラメータに照らして、サンゴの生存を確保するための最適条件を定義することが可能になるでしょう。

以前のタラ号海洋プロジェクト(2009〜2013年)で用いられたものと同じ、シーケンシング、データ保存、およびバイオインフォマティクス解析の手法を採用することで、タラ号太平洋プロジェクトは、研究者がサンゴ礁の微生物群と、これまで知られていなかったその相互作用について説明することを可能にします。タラ号チームは、研究者たちがサンゴ礁におけるゲノム、遺伝子、ウイルス、細菌の生物多様性を解明できるように、国際的な科学コミュニティが利用可能な、他に類のないサンゴ礁データベースを作成する予定です。

サンゴ礁に回復の時間を与えましょう。サンゴ礁が継続的な環境インパクトに耐えることができます。

タラ財団は温室効果ガス削減の必要性を求めていくことに加え、サンゴ礁に対する直接的な環境インパクトを食い止める、一刻も早いローカル・アクションを求めていきます。プラスチック廃棄物の増加、持続不可能な礁湖におけるツーリズム、農業と家畜作業からの排水、そして沿岸にある巨大なインフラたちは全て、サンゴ礁の状態悪化を加速させています。こうした環境インパクトを知ることは、私たちがグローバルなレベルで、かつローカルなレベルで行動を起こす契機になります。そしてその行動の結果はすぐに、サンゴ礁への良い影響となって現れることになるでしょう。

1.proue_Tara_perle de-orient@Noemie_Olive© Noemie Olive - Tara Expeditions Foundation

今すぐにやるべき、6つのローカル・アクション

  • 廃棄物処理の管理を徹底させる、特にプラスチック廃棄物に対して。
  • 農業、家畜飼育から出る廃水のインパクトを制限する。
  • 土壌を安定させるため、過度な伐採をやめる。そうすることで、排水によって生じた表土がサンゴ礁に堆積するのを防ぐことができます。
  • 破壊的な漁業習慣を禁止ないし制限する。
  • 堤防や工業港など沿岸に大規模なインフラを建設する際、環境を最優先させる。
  • 地域の人々を巻き込み、啓蒙していくこと。そうすることで、人々が自分たちの地元の自然環境を守ることにつながります。

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