地球のために活動するスクーナー船、タラ号

プラスチック生産の再考: 政策立案者や民間企業との挑戦に臨む

© Fabien Lombard / Fondation Tara Expéditions

私たちは2003年以来ずっと同じ状況を観察し続けてきました。海から海へ、探査から探査へ。プラスチックは海の至る所に存在します。推計によると、今のままの生活を続けると、20年後には海に投棄されるプラスチックの量は2倍になります。 近年、特定の国、地域社会、意思決定者、実業家たちが、サステイナブルへの避けられない移行に向けて、行動を起こしています。 イニシアティブ、イノベーション、そしてコミットメントは掛け合わされ、法律は進化しています。 しかし障害はあり、権力が優位を誇っています。変化のためのシフトレバーは何か? タラ財団のエグゼクティブ・ディレクター、ロマン・トゥルブレ氏に聴きます。

今日、海でのプラスチック問題は、大きなゴミから目に見えないマイクロプラスチックまで、様々です。これらの影響は非常に多様で、タラ財団はこれらプラスチック問題が海洋生態系に及ぼす影響の研究、理解に貢献しています。何が解決策と成り得るのか、私たちはどうすれば良いでしょうか。

私たちは前進していますが、もちろん十分な速さではありません。プラスチックの生産が増えるにつれ、良識は変わりつつあります。 新世代が登場し、特にヨーロッパレベルで法律が可決されました。 ヨーロッパ使い捨てプラスチック禁止法は勢いを増しています。たとえばサンフランシスコなど、使い捨てプラスチックを規制する国や都市もあります。そして新しいバイオ材料が登場しています。

この20年間で「オキソ断片化」または「生分解性」バッグなどの誤った(しかし消費者は安心してしまう)解決策が出現しています。しかし実際には、ある工業用の堆肥製造器でしか分解されず、結局海に出てしまうのです。つまり全てはこれから発明していかねばなりません!

新しいバイオ由来材料、又はバクテリアによる部分的に堆肥化可能なものなど、解決策の加速に際して、科学的専門知識はこれまで以上に必要とされています。 科学は、これら新しい材料が生物多様性や私たちの健康に及ぼす影響を識別し、良い解決策と誤った解決策を区別することを可能にします。これが私たちがエコロジカルな移行にもたらしたいことです。私たちの探査・研究に基づいて構築された総合的な専門知識を活かしたいのです。

Signature du « Pacte National sur les emballages plastiques » (Hôtel de Roquelaure - Paris)タラ号財団のエグゼクティブディレクター、ロマン・トゥルブレ ©Arnaud Bouissou - TERRA

海のプラスチックとの闘いに変化をもたらすシフトレバーは何だと思いますか?

私たち船員にとって、北極から南極に至るまで、プラスチックが小さな断片となりあらゆる所に散在しているのは明らかです。 私たちはこの「出血」をどうにかして止め、地上で解決策を見つけねばなりません。 これは、市民や地域レベルによるゴミ分別やリサイクルを最終段階とするのではなく、チェーンの様に繋がって行動することで、生産と消費の有り方を大きく変えることを意味します。 これらの移行は非常に重大で、消費者だけに頼ってはいけません。

プラスチック生産、大量流通からリサイクルまで、民間企業は強い責任と非常に重要なシフトレバーを握る役割を担っています。 これが「the National Pact on Packaging 」-大企業、フランス政府、および市民の間で締結されたばかりの、包装に関する国民協定の意義です。この協定は、民間企業のエコロジカルな移行を加速することを目的とした自主的なイニシアティブです*。 それに地域圏、NGOおよび研究者を含む委員会が続くでしょう。

*イニシアティブ:フランスにおいて、政府、企業、市民により結ばれる協定。包装に関する協定はWWFやタラ財団の協力のもとに2019年2月に結ばれた。

リサイクルに集中するだけで出血を止めようとするのは、非常に限られた勝利にしかなりません。新たな材料の開発も同時に進めねばなりませんが、移行の最初の段階は、何を置いてもプラスチックの削減です。5Rを優先しなければなりません。5Rとは、Reduce削減/ Refuse拒否 / Reuse再利用 / Repair 修理/ Recycleリサイクルです。 生産者、流通業者、リサイクル業者、地域社会、研究者、そして消費者をこの課題の周りに集めることは不可欠かつ緊急の課題です。

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海面の88%がマイクロプラスチックで汚染されています。© Surfrider Foundation Europe

調査以外に、タラ号はプラスチック汚染というテーマに関して何を企画しているのでしょうか。

2014年に実施されたタラ号地中海探査は、海洋でのプラスチック汚染という問題に専念しました。私たちは、フランスからレバノンへ、アルバニアからチュニジアへ向かう間に、約20ヶ所に寄港し、さまざまな人々や団体と会いました。多くの意見交換や討論会を通して、私たちがNGOや環境保護主義者だけと連携して活動するだけでは、限界があることに気づきました。私たちは、政治団体や民間組織と対話を始めなければなりません。2015年、「海のプラスチック」会議で、私たちは、モナコ大公アルベール2世財団やサーフライダーファウンデーションヨーロッパ、Mavaファウンデーションと共同して、Beyond Plastic Med 構想を創設しました。今日この構想は、地中海沿岸の地元の活動家が主導する25以上のプロジェクトを既に支援しています。

そのような変化は、これらの広告や協定のみにより、もたらされるわけではないでしょう。確かに、それらは良いきっかけとなるのですが。国際的に流通している工業製品(プラスチックや石油化学製品等)が引き起こしている問題を解決するためには、地球規模での取り組みが不可欠です。国際連合や国民国家の役割は、産業がリサイクルの流れを発展させ、エコデザインの進行を早めることができるさらなる循環経済へ移行するための共通の枠組みを整備することです。

Tara Expenditions 船上で、科学者たちは海水サンプルに含まれるプラスチックゴミと海洋生物を分類します。© Samuel Bollendorff / Tara Expeditions Foundation

タラ号は調査プログラムを使って、どのように移行に参加するのですか?

私たちが海で行っていること(観察、識別、それから研究室のパートナーとの分析)は生物とさまざまなプラスチックやそれに潜在する生体毒性のある成分との相互作用を理解することを可能にします。さまざまな種類のプラスチックが存在することを把握しておくことは重要です。そしてそれぞれのプラスチック製品と結合した化学添加物は、非常に多様かつ、複合的であり、しばしば秘匿されていることがあります。これらの海洋生物に与えるさまざまな汚染物質の影響を理解することこそ、真の挑戦です。今日私たちは特にCNRSとこの専門知識を発展させています。私たちの知識とさまざまな産業界及びそれらの規制に関する基準を比較することにより、私たちの挑戦は更に現実の問題に直結したものとなるでしょう。

私たちは間もなく海に戻り、調査を続けます。−ヨーロッパの海洋汚染の指標を開発し、大きな川を経由して流された汚染源を発見することによってこの「大量流出」を識別するために。タラ号の出港は6月の予定です。6ヶ月間ヨーロッパを航海し、私たちへの寄付者や共同出資者、後援者、陸と海の関係者の協力を得て、フランス国立科学研究センター(CNRS)と共同でその識別を行おうと考えています。初めて、生態毒性学者や海洋生物学者、海洋学者、分子生物学者の援助を得て、タラ号はヨーロッパの主要な15の河川のうち12の河口を調査します。テムズ川からその調査を始め、その後ロンドンに寄港します!

(1)協定に含まれる誓約

1.2025年までに問題があるまたは不要なプラスチック包装を排除する。

2.エコデザインへの取り組みを加速し、革新的かつ持続可能な解決策を実行する。

3.おおよそ、2022年までにプラスチック包装のリサイクル率60%を達成する。

4.2025年までに包装材の原料に平均30%の再生プラスチックを使用する。

Learn more about the National Pact on Packaging.