地球のために活動するスクーナー船、タラ号

ミッション・マイクロプラスチック2019:海洋プラスチック汚染の発生源 解明へ

© Tara Ocean Foundation

プレスリリース – 2019年5月16日

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Tara Océan 財団は、海洋プラスチック汚染の発生源を突き止めるため、ヨーロッパの10河川を調査します

プラスチック廃棄物(ゴミ)はどこからやってくるのでしょうか?それはどのようにして海に辿り着くのでしょうか?この廃棄物の流れを止めるためには、どこに我々の努力を集中すれば良いのでしょうか?プラスチックは、海洋生物多様性にどのような影響を与えるのでしょうか?最近の研究によると、海で見つかるプラスチック廃棄物(ゴミ)の80%は陸上で発生していることがわかっています。Tara Océan財団と欧州分子生物学研究所(EMBL)は、2010年以来この研究に取り組んでてきました。そして、今、その「出血」を止めるためには、陸から海へのプラスチック廃棄物(ゴミ)の流れを探り特定することが急務です。ミッション・マイクロプラスチック2019では、科学分野のコーディネート担当としてフランス国立科学研究センター(CNRS)が参加し、スクーナー船タラ号を使い、6か月にわたりヨーロッパの複数の地域を通りながら10の主要河川を探査します。2019年5月23日、タラ号の母港であるロリアン(モルビアン県)から、旅は始まります。

 

タラ号が開く海洋プラスチック研究の新しい一章

2010年以来のいくつかの探査の間に、スクーナー船はその網でマイクロプラスチック(直径0.2mmから5mm未満のプラスチック破片)を収集してきました。観測結果で明らかになったのは、マイクロプラスチックは海洋の至るところに存在するという事実です。2014年、私たちは地中海でこの汚染に焦点を当てました。その後、2017年に北極海で重要なプラスチックの堆積帯が発見され、2018年には北太平洋のプラスチックゴミベルトの「渦」の中で、生物多様性に対するマイクロプラスチックの関連性が確認されました。今回、タラ号とそのパートナーは、発生源を特定し、それがもたらす結果を予測し、そして陸上から海洋までのプラスチックの影響を評価します。

マイクロプラスチック、最も問題である破片

ヨーロッパおよび世界中の多くの研究により、海水、沿岸水域、河川、また河口や潟などのエコトーン(遷移帯)など、さまざまな水生環境における廃棄物の流れを特徴付けることが、すでに可能になっています。しかし、ほとんどの場合これらの研究は、より大きなプラスチックの破片「マクロデブリ」(2cm以上の大きさのごみ)に集中しています。マイクロプラスチックは、マクロデブリの劣化の結果です。これらの小さな破片は、海洋生物に多くの影響を及ぼしています。プラスチックに付着している潜在的な侵入種や病原体を拡散させ、有害物質や内分泌かく乱物質を蓄積し、それが食物連鎖に入り込むことなどです。

5- Echantillons récoltés grâce au filet manta © Noëlie Pansiot - Fondation Tara Océan© Noélie Pansiot / Fondation Tara Océan

プラスチック拡散の中心とその影響を明らかにするために川の流れを調査

道路や側溝から湖に流れ込む雨、小川や河川に流入する水―それは、あらゆる人によって作り出されるプラスチック廃棄物の辿る道筋であり、最終的には海に行きつくことになります。タラ号は沿岸近くに停泊し、海面で発見されるプラスチックの陸地での正確な発生源を究明するためにこの新しい調査を実施します。
約40人の科学者による学際的なチーム(海洋生物学者、環境毒性学者、海洋学者、数学者/モデラー、化学者や物理学者)はこの任務を導き、2つの主要な目標を達成するために一丸となって取り組みます。

1.汚染源を特定し、河川での断片化を理解し、海に分散する際のマイクロプラスチックの作用を予測する。
2.海洋生物多様性や食物連鎖に及ぼすマイクロプラスチックの影響を理解する。

サンプリングはヨーロッパの主要な15河川のうちの10河川の河口で計画されています:
テムズ川(イギリス)、エルベ川とライン川(ドイツ)、セーヌ川、ロワール川、ガロンヌ川とローヌ川(フランス)、テージョ川(ポルトガル)、エブロ川(スペイン)、テベレ川(イタリア)マイクロプラスチック(1~5mm)、マイクロメトリック粒子(1~1000μm)やナノプラスチック(1~999nm)のサンプルは、水面や水柱から収集されます。
これらのマイクロプラスチックにより、それらの発生源を特定する手がかりや証拠が与えられ、(そのサイズや化学的性質により)拡散の中心を見つけ、その発生源に対応策を講じるために、マイクロプラスチックの最も密集した場所を標的に定めることができます。

マイクロプラスチックの毒性をより深く理解する

海、河口、河川でのサンプリングにより、プラスチックの生物多様性への影響と食物連鎖への移行を研究します。プラスチックの破片は、長距離にわたって様々な生物種を運ぶことができるいかだの様なもので、永続的に生態系を破壊し続ける可能性があります。それは食物連鎖の中で蓄積され、私たちの食卓にさえ到達します。

プラスチックは、それを食べてしまった生物の組織に「塩析」されるであろう添加物(内分泌攪乱物質など)を含んでいます。この研究は、私たちにとって最も有毒なプラスチックを識別し、私たちの消費から優先的にこれらを排除する事に貢献するのです。

海のプラスチック:解決策は陸上にある!

もはや海に散らばった大量のマイクロプラスチックを回収することは不可能です。では最も効果的な解決策は、大陸から来る廃棄物の流れを止めることです。

「効果的な公共政策の実施には、流出の発生源を特定することが不可欠です。Tara Océan 財団とCNRSの共同任務は、短期間ですが、将来のアプローチをより良いものにし、流出をモデル化する手がかりをもたらすでしょう。」とTara Océan財団のエグゼクティブ・ディレクターロマン・トゥルブレは述べます。マイクロプラスチックの発生源とその海上での動きをより適切に査定することは、科学的、また政治的挑戦です。この新しい知識は、リサイクル、リダクション(削減)、リユース(再利用)、リペア(修理)を進めながら、汚染をより効果的に解決することを可能にし、最終的には循環型経済の実現に貢献します。

タラ号はヨーロッパ18の街に寄港予定

Tara Océan 財団は海洋の保全に関する挑戦で得られた情報を共有するため、18の街に寄港する予定です。このミッションにより、全ての世代の人々に深く関係する社会的挑戦、つまり、自然資源とその保全への課題を提示し、短期的には、実際の消費行動や、生産活動を変えさせようとしています。

タラ号のメンバーはヨーロッパ中の大都市に居る人々と出会うべく、様々な利害関係者や地元の関係者達、学校、公的機関の人々、そして民間企業と科学者コミュニティの代表たちとの交流を計画しています。Tara Océan財団は会議の催行やタラ号への乗船見学に加え、海洋生物多様性とマイクロプラスチックとの関連性を調べた新プロジェクトの成果を示す展示を行う企画を立てています。わたしたちがかつてない程大勢の人々と共有したいと考えているのは、プラスチックによる海洋汚染の解決方法です―その解決方法は陸上にあります!

海からの見識

今回の寄港は、主要パートナーである欧州分子生物学研究所(EMBL)によって行われたハイレベルの研究を新たに知る機会となります。EMBLはヨーロッパ内6つの拠点でビジョンに富んだ基礎研究、そして生命科学分野における技術開発を行っています。また、EMBLは「タラ号海洋プロジェクト」(2009-2013)の着想が生まれた場でもあります。EMBLの科学者エリック・キャルソンティ(Eric Karsenti)はこのプロジェクトを創始し、科学調査をけん引しました。タラ号プロジェクトの実施の中で、これまでに世界の海から3万5千以上のサンプルが収集されました。EMBLはフランス国立科学研究センター(CNRS)と共に科学調査団によるリサーチの進行を継続していきます。このリサーチには、世界18のパートナー研究所から100名を超える科学者が参加しています。EMBL会長のエディス・ハード(Edith Heard)は、次のように語ります。

「EMBLはこれからもデータ分析、データ保管、そして全てのデータの公開と提供について重要な貢献を継続していきます。地球上で最も大きい一つの連続する生態系である海は、人類の生存のみならず、わたしたちの惑星の保全に関する重要な見識をもたらします。EMBLはこれからもTara Océan財団やCNRSその他の団体と協力し、未来のために極めて重要な見識を得るべく活動を継続していきます。」

Tara Océan財団とEMBLは、これから寄港地やEMBLの拠点であるロンドン、ハンブルク、ローマ、マルセイユ、バルセロナ近郊で特別なイベントを企画していきます。

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プレス窓口

Tara Océan財団 日本事務局
yumiko@taraexpeditions.org

Tara Ocean Foundation – Elodie Bernollin
elodie@taraexpeditions.org
Tel: 06 95 73 26 88

CNRS – Priscilla Dacher
priscilla.dacher@cnrs.fr
Tel : 01 44 96 46 06

EMBL – Iris Kruijen
iris.kruijen@embl.de
Tel: +49 175 8991 179