地球のために活動するスクーナー船、タラ号

[TARA OCEANS] サンゴ礁の形成を活性化する微細藻類を世界中の海洋で発見

© Vincent Hilaire / Fondation Tara Expeditions

プレスリリース – 11月9日

サンゴ礁は海洋生物多様性における3分の1以上の住処となっていますが、それを形成する主なエネルギー源である微細藻類Symbiodiniumが世界の主要な海洋(大西洋、太平洋、インド洋)のサンゴ礁の外側で発見されています。[1] その形態には、浮遊性の海面に浮遊する自由生活状態と、特に単細胞生物内に存在する共生生活状態の二つがあります。[2] この発見は、フランス国立科学研究センター(CNRS)、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)、アブデュラ王立工科大学(サウジアラビア)、オークランド大学(ニュージーランド)の科学者を中心としたThe GO-SEE [3]研究ネットワークのチームによってなされ、 2018年11月8日に学術雑誌Current Biologyに掲載されました。

タラ号海洋プロジェクトの間、科学者たちはこれらの結果を得るために、遠洋と礁に位置する100以上のサンプリングステーションから集めた10億のDNAとRNA配列にあるSymbiodiniumの存在、多様性、そして活動を調査しました。また科学者たちは、タラ号海洋プロジェクトの遺伝子カタログを分析しました。このカタログには真核生物の1億1,600万もの遺伝子と、その海洋における発現レベルが含まれています。Symbiodinium代謝のためのいくつかの遺伝子が検出されました。この遺伝子には光合成、脂質代謝、解糖と窒素の摂取に関係するものが含まれます。

サンゴ礁にある既知のSymbiodinium遺伝子グループ(あるいはクレード[4])の大半が優勢のAおよびCクレードと共に、プランクトンから検出されました。最古に海洋でAクレードが優勢であったという事実は、この微細藻類は無脊椎動物との共生を通して沿岸の生態系に生息し始める以前に、約1億6千万年前に初めて海洋に出現したという仮説を裏付けるものです。海洋探査の後、これら遠海のSymbiodiniumがサンゴ礁内で共生のパートナーシップを再構築することができるかどうか調べている最中です。もしこれが事実だとすれば、海は気候変動の危機に脅かされている礁の生態系をどの時点においても再生息することができるという、遺伝的に混合しているSymbiodinium細胞の巨大な宝庫と源になる可能性があります。

【参考文献】

Worldwide occurrence and activity of the reef-building coral symbiont Symbiodinium in the open ocean, Johan Decelle, Quentin Carradec, Xavier Pochon, Nicolas Henry, Sarah Romac, Frédéric Mahé, Micah Dunthorn, Artem Kourlaiev, Christian R. Voolstra, Patrick Wincker, Colomban de Vargas (Current Biology 2018年11月8日掲載)
https://doi.org/10.1016/j.cub.2018.09.024

 

【研究者連絡先】

ヨハン・デセル(Johan Decelle
元AD2M研究所博士研究員。現在はグルノーブルにあるLaboratory of Cell and Plant Physiology(CNRS / UGA / CEA / Inra)に所属。
T +33 (0)6 80 15 46 29 johan.decelle@univ-grenoble-alpes.fr

コロンバン・デ ・バルガス (Colomban de Vargas)
「海洋環境における適応と多様性」研究所 (‘Adaptation et Diversité en Milieu Marin’ Laboratory)(AD2M、CNRS/SU)CNRS上級研究員 The GO-SEE研究ネットワークディレクター
T +33 (0)6 47 39 24 04 vargas@sb-roscoff.fr

エロディ・ベルノリン (Elodie Bernollin)
タラ財団コミュニケーションマネージャー
T + (0)6 95 73 26 88 elodie@taraexpeditions.org 

プリシラ・ダッハー (Priscilla Dacher)
CNRS プレスオフィス
T +33 (0)1 44 96 46 06priscilla.dacher@cnrs-dir.fr

[1] 北極圏(北極および南極)にはSymbiodiniumの痕跡は見られませんでした。
[2] プレスリリース参照 Quand la symbiose corallienne prend le large
[3] The GO-SEE (Global Ocean Systems Ecology & Evolution) 研究ネットワークはCNRS、CEA、ソルボンヌ大学、PSL、INSERM、ENSパリ、IRD、EPHE、エヴリー・ヴァル大学、フランス国立大学、ナヴェス大学、UGA、EMBL、チリ大学の物理、数理科学学部の監修のもと運営されています。
[4] クレードは、共通の祖先を持つ系統群です。